オードリーとビヨンセ
- ゆか
- Feb 26, 2024
- 3 min read
Updated: Mar 1, 2024
先日、オードリーのオールナイトニッポン15周年の東京ドームライブが開催された。
オープニングアクトで若林がドームを自転車で駆け抜ける。
ただ自転車で走っているだけなのに、「おー!」と会場が湧く。
それを見て、さっそく笑い泣きしてしまった。
オードリーに興味のない人には何のことだかさっぱりかもしれないが、あれは「おー!」なのだ。
1年前から宣伝活動が行われ、当初は「東京ドームで観覧したい!」と思っていたが、もともと部屋でこっそり聞いていたラジオのイベントだから、1人でオンラインの方が"らしい"かなと思い、早めに帰宅し『完璧な状態』で観ることにした。
『完璧な状態』とは何かというと、ゆかとオードリーを結ぶすべての物を机の上に並べ、よりライブを楽しむために適当な食事が用意されている状態のことだ。
必要な物は以下の通りである。
・若林正恭著「社会人大学人見知り学部卒業見込み」
・若林正恭著「ナナメの夕暮れ」
・若林正恭著「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」
・オードリーのNFL倶楽部編「オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線」
・藤沢周著「オレンジ・アンド・タール」
・村上龍著「限りなく透明に近いブルー」
・平野啓一郎著「ドーン」
そして適当な食事として、
・ロゼプルダックポックンミョン
・ロゼワイン
・マックのポテトとチキンナゲット
を用意した。
並べられた小説はすべて若林が自身のエッセイの中に登場させたもので、いわゆる『若林文庫』だ。
当然だが、グッズのパーカーを着る。
下はアメフト部時代のスウェットを着た。オードリーもアメフト部出身なのだ。
この『完璧な状態』について後にお姉ちゃんに説明したら、
「しっかり推し活してるじゃん」
と言われた。
なるほど、これも推し活というのか。
ゆかは特定の俳優やアーティストを長期的に推し続けることはない。
唯一、高校生の頃からビヨンセを崇拝しているが、彼女に対する眼差しと若林に対する眼差しは全く違う。
若林とゆかの関り方は、彼がラジオやエッセイで話す体験談を聞いて、同じ小説を読んだり、同じような経験を振り返ってみたりすること。
若林の繊細な感性と独特な視点をベースに紡がれる"本当の話"はすごくおもしろい。
こと・ものが若林フィルターを通ることで彼の話の中で輝く。そして、同じこと・ものを追体験してみると今度はゆかフィルターを通して違う色に輝く。その相違点や共通点をじわじわと楽しむ。
一方で、ビヨンセとゆかの接点は彼女がリリースする作品オンリーだ。ビヨンセの世界観は完璧で、瞬間的に放たれた閃光がすべてを包み込む。様々な要素をビヨンセ一色で表現する。ゴールドでキラキラしているのに純白。圧倒される。
このふたりのスターはどちらも、この世界の複雑性を自分から受け入れる。
自ら自分を汚す。
そのうえで光に変えてしまう。
その強さに、ゆかは憧れと尊敬の念を抱くのだ。
ふたりのスター。
どちらをより「推す」か。
なんでそんなこと決めなくちゃいけないんだ。
「どっちも」でいいじゃないか。
どっちも好きなんだから。
そして、どっちも好きなのは、まぎれもなくここにいるゆかなのだ。
「好き」という気持ちは、異なる世界観を繋ぎ合わせる唯一の策だ。
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